★現在の「家族関係登録簿」に基づく「登録事項別証明書」(基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書等)
及び
★従前の「戸籍簿」(=「除籍簿」)に基づく「除籍謄本」(※除かれた「戸籍謄本」)
について、
どんな目的(用途)のときにどの証明書が必要となるのか・・・
在日コリアンの皆様が日常生活の中で接する可能性の比較的多いと思われる主要な手続きを例に挙げてご説明したいと思います。
概ね以下のような「組み合わせ」になっていると考えていただくとよろしいでしょう。
※「組み合わせ」・・・と表現しているのは、現在の「家族関係登録簿」に基づく「登録事項別証明書」(基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書等)は、その名称のとおり、「登録事項別」に細分化されて各種の身分事項を証明するタイプの書類となっているため、多くの手続きでは、「▲▲証明書」+「▼▼証明書」・・・といったように、複数種類の「登録事項別証明書」を「組み合わせ」て取得し、関係機関に提出する必要があるためです。
また、手続きによっては、さらに従前の「戸籍簿」(=「除籍簿」)に基づく「除籍謄本」(※除かれた「戸籍謄本」)も併せて取得・提出する必要がある場合もあります。
以下、主要な手続きに関する例示です。
※ただし、ここでご説明させていただくのは、あくまで各手続きにおいて要求される一連の必要書類の中から、「登録事項別証明書」及び「除籍謄本」に関する部分のみを「抜粋」したものです。
つまり、例示させていただく「登録事項別証明書」及び「除籍謄本」のみを準備すればそれぞれの手続きに十分な書類がすべてそろう・・というわけではなく、他にも必要となる書類がありますので、その点はご留意の上ご参照いただければ幸いです。
●婚姻届(申告)の場合
(1)日本側の役所(市区町村役場)に「婚姻届」を提出する場合
→婚姻する当事者の「基本証明書」1通 及び 「婚姻関係証明書」1通
※婚姻する当事者双方(つまり「夫」になる人と「妻」になる人)がいずれも韓国籍の在日コリアンである場合には、双方についてそれぞれ上記の証明書が必要となります。
※いずれも、日本語への「翻訳文」を添付する必要があります。
※役所(市区町村役場)によっては上記に加えて「家族関係証明書」1通(+翻訳文)の提出も要求するところがありますので、実際に婚姻届を提出する予定の役所(市区町村役場)に事前に必要書類を確認されるのが望ましいものと思われます。
(2)韓国側の役所(市庁・区庁・面(邑)事務所等)に「婚姻申告書」を提出する場合
→婚姻した(日本の役所への「婚姻届」の提出が済んだ)当事者の「家族関係証明書」1通 及び 「婚姻関係証明書」1通
※(1)の場合と同様、婚姻した当事者双方(つまり「夫」になった人と「妻」になった人)がいずれも韓国籍の在日コリアンである場合には、双方についてそれぞれ上記の証明書が必要となります。
※(1)の場合と(2)の場合で要求される「登録事項別証明書」の「組み合わせ」が異なりますので、注意が必要です。
※韓国側への「婚姻申告書」の提出は、住所地を管轄する駐日韓国総領事館を通じて行うことも可能です。
※なお、結婚手続き全般に関する情報については、当サイトの「結婚手続き支援室」のコーナーに掲載していますので、そちらも併せてご参照いただければ幸いです。
●出生届(申告)場合
(1)日本側の役所(市区町村役場)に「出生届」を提出する場合
→不要です。
(2)韓国側の役所(市庁・区庁・面(邑)事務所等)に「出生申告書」を提出する場合
→出生した(日本の役所への「出生届」の提出が済んだ)「子」の「父」の「家族関係証明書」1通 及び 「婚姻関係証明書」1通
※ただし、韓国籍である「母」と日本人(その他外国人)「父」との間に出生した「子」である場合には、韓国籍である「母」の「家族関係証明書」1通 及び 「婚姻関係証明書」1通を提出することになります。
※韓国側への「出生申告書」の提出は、住所地を管轄する駐日韓国総領事館を通じて行うことも可能です。
●死亡届(申告)の場合
(1)日本側の役所(市区町村役場)に「死亡届」を提出する場合
→不要です。
(2)韓国側の役所(市庁・区庁・面(邑)事務所等)に「死亡申告書」を提出する場合
→死亡した(日本の役所への「死亡届」の提出が済んだ)人の「基本証明書」1通 及び 「家族関係証明書」1通
※韓国側への「死亡申告書」の提出は、住所地を管轄する駐日韓国総領事館を通じて行うことも可能です。
●韓国パスポート(旅券)申請の場合
(1)当事者が満18歳以上の場合
→当事者の「家族関係証明書」1通
(2)当事者が満18歳未満の場合
→当事者の「基本証明書」1通 及び 「家族関係証明書」1通
※韓国パスポート(旅券)の申請は、住所地を管轄する駐日韓国総領事館で行うことが可能です。
●帰化申請の場合
★帰化申請に際して提出が要求される「登録事項別証明書」の「組み合わせ」については、全国的な統一が図られておらず、申請先となる各法務局によってその指示内容は様々です。
※帰化申請を行う際の管轄法務局(帰化申請を希望される方の住所地(外国人登録地)を管轄する法務局)については、「よくあるご質問と答え(帰化申請関連)」のコーナーで解説していますのでそちらをご参照いただければ幸いです。
要求される「登録事項別証明書」の「組み合わせ」が最も少ない例としては、東京法務局(本局)が申請先となる場合等で、帰化申請者本人の「基本証明書」(及び後述する「除籍謄本」)のみで足りるとされています。
※東京法務局(本局)でも要求する書類が変更されているようです。ケースバイケースで提出書類が異なる可能性が高いことから、具体的な提出書類については管轄の法務局にお問合せの上ご確認いただければ幸いです。
一方、別の、とある法務局では、帰化申請者本人の他、父・母・兄弟姉妹につきそれぞれ各3種類の「登録事項別証明書」(「基本証明書」・「家族関係証明書」・「婚姻関係証明書」)(及び後述する「除籍謄本」)が要求されているとの情報もあります。、取り扱いの「格差」は極めて大きいのが実情です。
いずれにしても、帰化申請については申請者本人の住所地(外国人登録地)を管轄する法務局(※そのエリアが法務局の「支局」の管轄エリアである場合には当該「支局」)を通じてのみ申請可能・・という規定がある以上は、原則として当該法務局の要求に沿った「組み合わせ」の「登録事項別証明書」(及び後述する「除籍謄本」)を準備する必要があるものと思われます。
以上の点を踏まえ、帰化申請に際して提出が要求される書類(「登録事項別証明書」及び「除籍謄本」)について整理してみると、以下のようになるものと思われます。
①「登録事項別証明書」及び②「除籍謄本」について
・全国の法務局共通で必須書類として提出が要求されているもの
→申請当事者の「基本証明書」1通(及び そのコピー1通)
・全国の法務局によって提出に関する要求内容が異なります。
→取り扱いが様々で特定できませんので、上述の通り、帰化申請される方の住所地(外国人登録地)を管轄する法務局(※そのエリアが法務局の「支局」の管轄エリアである場合には当該「支局」)にお問合せの上、ご確認いただければ幸いです。
②「除籍謄本」について
→原則として、「帰化申請当事者の父母の婚姻以降の身分事項が網羅されており、かつ、帰化申請当事者及びその兄弟姉妹全員の身分事項が掲載されているもの」1通(及び そのコピー1通)
※上記の内容が1種類(1冊)の「除籍謄本」で網羅されていない場合もあり、そうしたケースでは複数種類の(通常は過去に遡った)「除籍謄本」を「組み合わせ」て提出する必要があります。
※帰化申請に際して管轄の法務局に提出する「登録事項別証明書」(及び「除籍謄本」)には、日本語への「翻訳文」を添付する必要があります。
※なお、帰化申請全般に関する情報については、当サイトの「帰化申請支援室」のコーナーに掲載していますので、そちらも併せてご参照いただければ幸いです。
●相続(登記)手続きの場合
★相続(登記)手続きに際して関係機関(不動産の場合であれば「法務局」、預貯金等であれば「金融機関」等)から提出が要求される書類については、被相続人(死亡した人)が日本人である場合と基本的な考え方は同じです。
つまり、「被相続人の死亡時点から出生時点まで遡った身分事項が網羅された一連の戸(除)籍の謄本」の提出が要求されるのが一般的です。
これは、被相続人(死亡した人)の「生涯にわたる身分事項(の変遷)」を調査することにより、法定相続人(法律上、相続する権利を有する人)を特定することを目的としているのはご存知のとおりです。
この目的を踏まえた上で、韓国側の書類(「登録事項別証明書」及び「除籍謄本」)として準備すべき書類はどうなるか・・・について、被相続人に関する書類と相続人に関する書類に分けてそれぞれ考えてみたいと思います。
(1)被相続人に関する書類
①「西暦2007年12月31日」以前に死亡した人の場合
韓国の「戸籍法(호적법)」が西暦2008年1月1日付で廃止されるまでは、韓国でも日本の戸籍制度に極めて類似した戸籍制度が施行されていましたので、その時代(つまり「西暦2007年12月31日」以前」)に死亡した人に関する相続(登記)手続きの場合には、現在の「家族関係登録法」(正式には「家族関係の登録に関する法律(가족관계의 등록 등에 관한 법률)」)は適用されないことになります。
言い換えれば、現在の「家族関係登録簿」に基づく「登録事項別証明書」は関係しない、つまり準備・提出する必要もないということになります。したがって、準備すべき書類は以下の通りになると考えて差し支えないと思われます。
→被相続人の死亡時点から出生時点まで遡った一連の身分事項が網羅された「除籍謄本」各▲通
※相続(登記)手続きに際して準備すべき「除籍謄本」等の必要通数については、その提出先となる関係機関(不動産の場合であれば「法務局」、預貯金等であれば「金融機関」等)の数によって異なってきますので、被相続人が生前保有していた財産(遺産)の状況に応じてケースバイケースで検討する必要があります。
②「西暦2008年1月1日」以後に死亡した人の場合
このケースでは、①の場合と異なり、従前の「戸籍法(호적법)」(西暦2008年1月1日付で廃止)とそれに代替する「家族関係登録法」(正式には「家族関係の登録に関する法律(가족관계의 등록 등에 관한 법률)」)(西暦2008年1月1日付で施行)の両方が適用されることになります。言い換えれば、従前の「戸籍簿」(=「除籍簿」)に基づく「除籍謄本」と現在の「家族関係登録簿」に基づく「登録事項別証明書」の両方が関係してくることになります。
具体的に準備・提出すべき書類としては、「西暦2008年1月1日」を境にして、以下のように考えればよろしいかと思われます。
(「出生時点」~「西暦2007年12月31日」までの期間について)
→当該期間における被相続人の一連の身分事項が網羅された「除籍謄本」各▲通
(「西暦2008年1月1日」~「死亡時点」までの期間について)
→当該期間における被相続人の「基本証明書」・ 「家族関係証明書」・「婚姻関係証明書」各▲通
★なお、相続(登記)手続きの事案の中には、「元は「韓国籍(若しくは朝鮮籍)の在日コリアン」でいらっしゃった方で、その後帰化により「日本国籍」を取得した後に死亡」というケースも少なからずあります。(こうした事案の中には、当初はその事実が判明しておらず(つまり被相続人は「生来の日本人」であるとの想定の基)、相続(登記)手続きの準備として日本側の戸(除)籍謄本の収集作業を進めていく過程で当該事実が判明した・・といったケースも少なくありません。)
このようなケースでは、被相続人が「帰化した時点」~「死亡時点」の期間については日本側の戸(除)籍謄本でその身分事項(の変遷)が確認・立証できますので、韓国側の書類収集に関しては、「出生時点」~「帰化するまでの時点」を対象とすれば足りることになります。
つまり、こうしたケースにおいて具体的に準備すべき韓国側の書類については、上記①及び②でご説明させていただいた内容について、「死亡時点」となっている部分を「帰化するまでの時点」と読み替えて考えていただければよろしいものと思われます。
(2)相続人に関する書類
相続人が実際に遺産を相続する時点で具備していなければならない条件は、「生存していること」です。
したがって、その事実を立証するのに足る書類を関係機関(不動産の場合であれば「法務局」、預貯金等であれば「金融機関」等)あてに提出する必要があります。
この書類を検討するにあたっては、当然ながら、現在施行されている「家族関係登録法」(正式には「家族関係の登録に関する法律(가족관계의 등록 등에 관한 법률)」)がベースとなります。
つまり、現在の「家族関係登録簿」に基づく「登録事項別証明書」の中から、相続人が「生存していること」を立証する証明書を選択して準備・提出すれば足りるものと考えられます。
5種類の「登録事項別証明書」のうち、当事者(・・法律上は「対象者」といった呼び方をします)の「出生事項」・「死亡事項」等が記載される「基本証明書」がもっとも直接的にその事実を証明できるものと考えられます。
したがって、準備・提出すべき書類は(最低限)以下の通りになると考えて差し支えないと思われます。
→(各)相続人の「基本証明書」各▲通
★なお、相続人の国籍が日本である場合には、準備・提出すべき書類も当然ながら日本の「戸籍謄本」となります。
※また、相続人に関する書類として「基本証明書」のみで足りるか・・・については、特に法律等で明確に定められているものではないため、関係機関(不動産の場合であれば「法務局」、預貯金等であれば「金融機関」等)の判断によっては、他の「登録事項別証明書」も「組み合わせ」て準備・提出するようにとの要求がなされる可能性もあり得るかと思われます。
その点については、関係機関の要求(指示)内容を確認した上で(場合により、過剰な要求がなされている(・・・本来、提出する必要性のない書類まで要求されている)と思われるようなケースにはその必要性について確認・協議する等の措置を講じた上で)、適宜対応されるとよろしいかと思われます。
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