韓国における公務員数が昨年(2010年)末現在で98万7千名余りに達していることが明らかになりました。
「新都市建設」等に伴う教育、防犯、消防、福祉等の分野における行政需要が急増する一方で、「定年延長」による退職者数が減少していることもあり・・
近い将来、韓国は「公務員100万人時代」に突入するのは間違いない状況にあります。
本日(2011年7月11日)のニュース解説では、そうした現状に伴う諸問題を取りあげて論説が行われています。
まず、「増員が不可避である」という理由はそれなりに理解できるとしても、「小さな政府を指向する」としていた現政権の初期の方針と現在の状況との間には「相当な距離」があるように見える点は否めない・・と指摘しています。
さらに、「『小さな政府』とは、単純に公務員組織の規模縮小のみを意味するものではない」とする政府の安易な見解には警戒しなければならない・・と述べています。
公務員制度の下においては、いったんその身分保証を獲得した公務員の「退出」(退場/退職)は難しく・・・
公務員数が増加すれば財政支出も肥大化し、増加した公務員個々が「すべき仕事」を創出する「救済措置」も増やさなければならない・・
といった(一般論的な)「しくみ」を述べた上で。。
過度な「救済措置」は「民間経済の圧迫」という大きな(悪)影響にもつながる点を指摘しています。
「公務員は、すべき仕事の軽重や有無に関係なく、上級公務員へと出世するために部下の数を一定の比率で増加させる(・・そのため必然的に公務員数は増加することになる)」という英国の歴史学者、ノースコート・パーキンソンが提唱した『パーキンソンの法則』を引き合いに出し・・
韓国の現状がそうした『法則』に該当していないかどうか・・詳細に検証すべき時期であるとしています。
公務員の増員抑制については、政治的な解決を目指すよりは、むしろ「専門家」である公務員自身が積極的に取り組むべきであり、「長期的な人的資源管理をより合理的に運用すべきである」・・と提言しています。
具体的には・・
「新たな行政需要」に対しては公務員を増加させるべきであるが、行政需要が減少している分野については、果敢に減少させる、あるいは既存の人材を「再配置」する等の方策を模索すべきであるとしています。
例えば・・
地方自治体における人口が減少しているにもかかわらず公務員数が依然として増加傾向にないかどうか、志願者がいない職務については抜本的な統廃合できないか、「(行政)法人化」、「民営化」が可能な組織はないかどうか・・等、詳細に検討すべきであると指摘しています。
また、来年(2012年)には大統領選挙及び総選挙があることを引き合いに出し・・
選挙の時期が近づくに連れ・・「票」を意識して「公務員数増加」に言及するような公約が乱発されるのではないか・・といった憂慮の念も示されています。
「公務員100万人時代」を目前とした現実が果たして何を意味しているのか・・より真摯に考えてみる時であるとし・・
行政サービスのユーザーである国民の「体感満足度」が改善されていない・・という調査結果を心して受け止め・・
規模の拡大にのみ汲々とするのではなく、規模の「適正」化について冷静に再考すべきであり・・
主管官庁である「行政安全部」の舵取りが何にも増して重要である・・
として論説は締めくくられています。
上記「ニュース解説」は、KBSのサイトの以下のページで(ストリーミング動画による)視聴が可能なほか、解説の内容(スクリプト)をテキストベースで閲覧することも可能ですので、ご興味のある方はアクセスなさってみてください。
http://news.kbs.co.kr/special/digital/newscomm/2011/07/11/2321776.html