本日(2011年7月19日)のニュース解説では、先日来、次々と明らかになっている海兵隊内部における事件(不祥事)を取り上げ、その原因分析や改善(革新)に向けた提言などが行われています。
まず、海兵隊にまつわる昨今の(いいイメージとしての)トピックスとして、延坪島砲擊事件(연평도 포격 사건:http://ko.wikipedia.org/wiki/%EC%97%B0%ED%8F%89%EB%8F%84_%ED%8F%AC%EA%B2%A9ご参照)の際に見せた「不屈の闘志」、有名俳優が志願入隊した件などを引き合いに出した上で、それだけに今回の一連の不祥事の衝撃(内部の腐敗)の大きさが衝撃的なものであるとしています。
また、そうした背景の基、以下のような事実について紹介しています。
・昨日(7月18日)には国防長官と海兵将兵が一堂に会して兵営文化の革新に向けた討論を行うなど対策構築に奔走していること。
・対策案として、暴行や期數列外
(기수 열외:http://ko.wikipedia.org/wiki/%EA%B8%B0%EC%88%98_%EC%97%B4%EC%99%B8 ご参照)
などの卑劣な行為に加担した兵士に対しては、海兵隊員であることを象徴する(名誉ある)「赤い名札」をはずす措置や暴行行為が行われた事実が摘発された部隊自体を解体するなどの方策が検討されていること。
※「期數列外」とは、本来ならば入隊期によって序列付けられるべき上下関係から特定の兵士を故意に除外(のけものに)し、上下(先輩後輩)の区別なくいじめの対象とする行為(海兵隊においてかねてよりみられる悪しき慣行)
また、革新すべき兵営文化の対象は海兵隊だけの問題ではないとも述べ、以下の点も指摘しています。
・部隊ごとに差異はあるものの、若い兵士を絶望の淵に突き落とし、意欲をそぐような行為が繰り返されていること。
・「内務班」(兵営において、兵士たちが内務生活をする単位及び生活する施設のこと)の名称を「生活館」と改称し、殴打や暴行等の卑劣な行為も減少傾向にあるとはいうものの、先進国型の「強い軍隊」へと換骨奪胎したというには時期尚早であるというのが軍関係者の見方であること。
・「先進国型の兵営文化」とは、「統制」ではなく「自律」によって運営されるものであり、空間的にも部隊運営面においても閉鎖的ではなく解放的であるのが特徴であると言われていること。
上記と関連して、海兵隊における「神話」として語られている以下の逸話を紹介しています。
・ベトナム戦争激戦の渦中にあった1967年2月、海兵隊青龍部隊1個中隊が、約10倍もの多数に及ぶ兵力を擁する「越盟軍」(ベトナム独立同盟会軍)1個連隊の全面的な攻撃を粉砕し勝利を収めた「チャビンドンの戦闘」があったこと。(※「チャビンドン」とは、カンボジア国境付近にあった小さな村落の地名)
・その戦果により中隊員全員が一階級特進したというこの戦闘は、韓国軍とアメリカ軍の教本に模範的な例として記録されたこと。
・当時中隊長だったチョン・ギョンジン氏は、敵の攻撃の直前、指揮下にある幹部を呼んで以下のように語り、共に喊声を上げたという。
「今まで準備してきた通り、訓練してきた通りにやれば必ず成功する」
・このとき、部隊員たちは、完全に呼吸が一致していることを感じ、相互信頼と自信感を得たと回顧する。
上記逸話を基に、解説委員は
・当時、ベトナム戦争においては、小隊長等第一線の指揮官が戦死してしまった場合、部隊全体が潰滅してしまうケースが多かったが、「チャビンドンの戦闘」においては、「上下間の信頼」と「部隊員たちの自律的な臨戦態勢」が勝利の要因となったものと分析される
としています。
また、
・軍の一部では、いまだ「一糸不乱」の(一糸乱れない)統制と閉鎖性に依存している印象がみられる
とした上で、以下のような「提言」をしています。
・男女問わず「義務兵役制度」を実施しているイスラエルを参考にしてみてはどうだろうか。韓国軍よりも開放的で自律的な兵営文化を維持しつつも、世界的にも「強い軍」としての評価を受けているではないか。
最後に、
・韓国軍もそのようになる(イスラエル軍のような兵営文化を実現する)ことを目指すのであれば、内外の助言を参考にしつつ、画期的かつ長期的な改善努力と莫大な投資が必要である。
として論説は締めくくられています。
上記「ニュース解説」は、KBSのサイトの以下のページで(ストリーミング動画による)視聴が可能なほか、解説の内容(スクリプト)をテキストベースで閲覧することも可能ですので、ご興味のある方はアクセスなさってみてください。
http://news.kbs.co.kr/special/digital/newscomm/2011/07/19/2326080.html