先日、ソウル市内にある(地上39階、地下6階建の)高層ビル「テクノマート」が原因不明の「振動」を起こし、現場にいた人全員に「退去(退避)命令」が出される・・という騒動がありました。
「テクノマート」は、家電製品等を中心とした専門店がテナントとして多数入居している巨大ショッピングモールや映画館等の娯楽施設も備えた多目的ビルで、外国人も含め、連日多数の人で賑わいを見せるソウルの観光名所のひとつともなっており、1日当りに出入りする人の数は延べ5万人にも上るといわれています。
その「テクノマート」が、地震や爆発等、外的要因がないにもかかわらず「振動」を起した(多くの人が揺れを体感した)ことで騒然となり、建物の所在する区の区庁(区役所)から入居者及び訪問客に対して「退去(退避)命令」が出される騒動となりました。
経営への打撃に直結するテナントの一部からは反発の声も上がりましたが・・・
かつて同じソウル市内に所在していた「三豊百貨店」(삼풍백화점)が営業中に突然崩壊し、甚大な被害(死傷者500名以上)を出した・・という大惨事の記憶もまだ韓国国民の中には残っていることもあり・・結局は全員が「退去(退避)命令」に従い避難することとなりました。
※「三豊百貨店」(삼풍백화점)の崩壊事故についてご関心のある方は以下のサイト等をご参照いただければ幸いです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%B1%8A%E7%99%BE%E8%B2%A8%E5%BA%97
解説中の説明によれば、このビル(テクノマート)は震度7の地震にも耐えうる「耐震設計」がなされている・・とのことであり、また、「6か月」毎に定期的な「安全診断」が実施されているとのことです。
今年3月に実施された直近の「安全診断」でも「異常なし」との結果が出ているほか、去る2008年には竣工10年を期して「精密安全点検」が実施されており、その際にも「異常はない」ことを示す「B等級判定」が下されていたとのことです。
解説では、点検の結果「安全だ」と言われても、なぜ振動が起きたのか・・その「原因」が究明されない限り、入居者(テナント等)や顧客(訪問客)を安心させるのは容易なことではないと指摘しています。
営業中断による損失を被るテナント等への配慮も無論重要なことではあるものの、実際に振動が起きたことは事実であり、「退去(退避)命令」まで出された以上、「正常な状態」を取り戻すには振動の原因を明確に究明することが最重要の課題であり、そのためには、時間や費用がいくらかかろうとも、徹底的な精密点検が必要であるとの提言がなされています。
安全点検を「おろそか」にしたことが原因で大惨事となってしまった上述の「三豊百貨店」(삼풍백화점)崩壊事故の教訓を生かし・・
ビルのオーナーはもちろんのこと、(「退去(退避)命令」の発動という)緊急措置を取った行政当局にとっても、今後の「後続措置」が極めて重要な課題である旨指摘し、解説は締めくくられています。
上記「ニュース解説」は、KBSのサイトの以下のページで(ストリーミング動画による)視聴が可能なほか、解説の内容(スクリプト)をテキストベースで閲覧することも可能ですので、ご興味のある方はアクセスなさってみてください。
http://news.kbs.co.kr/special/digital/newscomm/2011/07/08/2320547.html