「おぞましい環境汚染問題が今、西海で発生しています」
との第一声から本日(2011年7月15日)のニュース解説は始まっています。

※西海(서해)は、韓国と中国の間にある海洋で、一般的にはYellow Sea(黄海)と呼ばれていますが、韓国では西海(서해)と呼ばれており、ニュース解説の中でもその呼称が用いられています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E6%B5%B7ご参照)

上記は、「平素から海洋汚染が深刻な中国の渤海湾において、それに追い討ちをかけるように原油流出による汚染事故が重なってしまったこと」を指しています。

具体的には、「先月(2011年6月)、油井から原油が流出したものである」とし、さらに「中国政府はこれまでその件(事故)に関する公表を避けてきた」とも述べています。

そのことから、「中国政府は上記事故を隠蔽しようとしていたのではないかとの『疑惑』まで浮上している」としています。

また、「しかしながら中国政府もついにこの油田に対し、生産中断の命令を下した」とし、その理由として
「先週、(中国政府は)『ボーリング会社が原油の流出を完全に食い止めた』と発表したが、これが事実ではないことが発覚した」点を挙げています。

上記の点を踏まえ、解説委員は以下のような点を指摘しています。

・中国政府は、まず、原油流出事故に関する正確な情報を公開すべきである。
・これは、国際社会に対しての基本的な責務である。
・環境汚染は、もはや1国家の問題ではない。

ここで、昨年(2010年)メキシコ湾で発生した原油流出事故を引き合いに出し、「あの事故で全世界がどれだけ驚いたことだろうか?」と中国政府の隠蔽体質を非難しています。

また、「日本で発生した大震災を契機に『原子力の安全と災難管理』を目的として本年(2011年)5月に韓国・中国・日本の3か国間で採択された『協力方案』もこうした理由(災難への適切な対応)のためである」とし、やはり(中国政府に対しての)批判的な論調が繰り返されています。

また、韓国政府に対しても
「中国政府に対し、堂々と情報公開を要求すべきである」
と注文しています。

再び事実関係として

・中国政府は、原油が海底に向かって浸透していくにつれ、貝やナマコといった海産物が汚染されている可能性が高いとして注意を呼びかけている点
・それに伴い、韓国に輸入されるこの地域からの海産物の安全性に対する憂慮が深まっている点

を挙げた上で、韓国政府に対する提言として

・韓国政府も、単に中国側が発表する情報のみをながめているではなく、もっと積極的に情報収集に力を注ぐべきである。
・そうした努力を通じて、海上汚染や漁獲量減少等の被害規模を徹底的に把握し、それに対する措置を講じなければならない。

点を指摘し、最後に

・外交チャンネルを通じる等あらゆる手段を動員し、被害を縮小するための中国との協調をより強化すべく、強く働きかけていかなければならない。

として論説は締めくくられています。

上記「ニュース解説」は、KBSのサイトの以下のページで(ストリーミング動画による)視聴が可能なほか、解説の内容(スクリプト)をテキストベースで閲覧することも可能ですので、ご興味のある方はアクセスなさってみてください。

http://news.kbs.co.kr/special/digital/newscomm/2011/07/15/2324355.html